歯周病と脂肪肝と歯周統合医療との奇妙な関係

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歯周病と脂肪肝ってどんな関係があるの?
なんの関係もなさそうな歯周病と脂肪肝と歯周統合医療。
実は、密接な関係があるのです。

ある患者さんの実際にあったお話

1年前の2016年9月、筋肉質でガッチリとした体型の患者さんが、歯ぐきを腫らして医療法人愛和会桜川歯科医院に来院しました。

会社経営をしているその方は、いかにもやり手で、テキパキと仕事をこなす敏腕社長のようでした。

しかし、いかにも慢性疲労しているような雰囲気をかもし出していました。

医療法人愛和会桜川歯科医院では、2種類の歯周病治療があります。

保険の歯周病治療と保険外の歯周統合医療がある事をお話し、それぞれの利点、欠点を事細かに説明しました。

流石、敏腕社長だけあって、その場で歯周統合医療Aコースを契約して、すぐに治療を開始することにしました。

歯周統合医療の治療は、1週間で終了します。

そこまでは、良かったのですが、血液検査や広範囲大便検査、毛髪ミネラル検査が、あまりよくありませんでした。

歯周統合医療での各種検査の結果

血液検査の結果

胃は、胃酸分泌が悪く、消化酵素が作れない状態で、タンパク質の消化ができない状態でした。

腸には、カンジタ菌が多く、ビタミンB6不足。

ALTは、98と重篤な脂肪肝。

ヘモグロビンA1Cは、12.8で重度糖尿病でした。

広範囲大便検査の結果

悪玉菌が検出されたうえに、ビフィズス菌、は酪酸菌がマイナスで、カンジタ菌が多く検出。

腸内環境は、最悪。

毛髪ミネラル検査の結果

水銀の排泄能力が弱く、水銀が体内に蓄積されていました。

アンケートの結果

筋肉増強のために、過剰の量のプロテインを、毎日採っている事。

疲れるので毎日1本栄養ドリンクを服用し、砂糖入りのコーヒーを5〜6杯飲んでいる事がわかりました。

この結果から、なにがわかるの?

この患者さんの場合は、胃で十分な消化ができず、腸内環境が悪いので、腸から良質なタンパク質の吸収ができない状態なのです。

そのため、エネルギーが十分に供給できず慢性疲労になっていました。

しかも、重度な糖尿病と重篤な脂肪肝になっていました。

この結果を文章にして、本人と面談しました。

面談の結果

このままの生活習慣を続けていたら、身体は悲鳴をあげて動けなくなってしまうと警告したのですが・・・。

「歯医者から言われなくても、オレは病院に行って糖尿病の管理してもらっているから大丈夫。」

病院の先生に、「ストレス性の糖尿病だから、毎日運動をしていれば大丈夫と言われているし、脂肪肝とは聞いていない。」と言いました。

このように、本人は全く、聞く耳を持ってはくれませんでした。

生活習慣を変えるのは、患者さん本人です。

アドバイスをしましたが、がんとして受け入れてはもらえませんでした。

歯科医師としての立場から、糖尿病や脂肪肝の治療をするわけにはいきませんので、患者さんが気づくまで、経過を見守るしかありません。

ただし、歯科にメインテナンスに来た時は、毎回、アドバイスをしました。

この患者さんは、本当にこのままでいいのでしょうか?

結論から言います。

いい訳がありません。

なぜ、このままではいけないの?

医療法人愛和会桜川歯科医院に来院したのは、歯周病で歯ぐきが腫れたからですよね。
なぜ、腫れたのでしょうか?

歯周病は、歯周病菌が活発になることで炎症を増悪させるためと、その炎症を増悪させる生活習慣があるからますます悪化して行きます。

毎日の生活習慣、特に食習慣が歯周病を発症させて、悪化させる原因になるのです。

加えて、歯周病が菌血症をひき起こし、他臓器に悪影響を及ぼすと共に、腸内環境をも悪くします。

この患者さんの場合、疲れを取るために、毎日1本、栄養ドリンクを服用し、砂糖入りのコーヒーを5〜6杯飲んでいるとの事ですが、この行為が糖尿病や脂肪肝を悪化させ、免疫力を減少させる原因でもあるのです。

なぜなら、免疫力、ビタミンB群、セロトニンなどのホルモンの合成は、腸で行われます。

まして、水銀の排泄能力の低い人は、カンジタ菌が水銀をため込み、ますます腸内環境を悪化させます。

そのため、免疫力が減少し、口腔内に歯周病による歯肉の腫脹という形で現れます。

すなわち、歯周病の裏には、必ず全身疾患が隠れているのです。

この患者さんの場合、善玉菌がほとんどなく、悪玉菌やカンジタ菌が検出され、水銀排泄力が低いことから、腸内にはカンジタ菌がものすごく多くいることになります。

栄養ドリンクや砂糖入りのコーヒーを毎日飲むことは、歯肉や腸にいるカンジタ菌にエサを、毎日与えていることになるので、口腔内や腸内の環境は劣悪の一途をたどります。

そのため、免疫力は減少し、ビタミンB群は合成されないので、ますます疲れるのです。

まして、糖質を摂取しすぎると、肝臓で糖代謝が滞り、肝臓に脂肪を蓄えることにもなります。

これが脂肪肝になる要因です。

ですから、この食習慣は、糖尿病と脂肪肝を増悪させる行為なのです。

この患者さんの場合、ストレス性の糖尿病と言われたようですが、毎日大量のカフェインを採っています。

カフェインは、交感神経を優位にして興奮させるので、ストレスがたまりやすくなります。

このことも、高血圧や糖尿病悪化の原因です。

お医者さんから毎日運動をするように指導され、本人も筋肉増強のためにプロテインを過剰に摂取しています。

このことも、脂肪肝を悪化させる原因になります。

プロテインは、タンパク質です。

タンパク質を採ることは、とても大事なことです。

まして、筋トレをした後にプロテインを採ることは、筋肉増強には欠かせませんが、まさか筋肉増強のために飲んでいるプロテインが、肝臓を悪くしているなんて思いもよりませんよね。

しかし、思い出して下さい。

この患者さんの場合は、胃で十分な消化ができず、腸内環境が悪いので、腸から良質なタンパク質の吸収ができない状態でしたよね。

タンパク質は、消化されない場合、糖質や脂肪として体内に蓄積します。

尿として排泄されますが、体内に蓄えられると消化器官に悪影響を与えます。

肝臓は、いろいろなものを分解しますが、プロテインの過剰摂取は、肝臓機能悪化の原因になります。

脂肪は肝臓で中性脂肪としてタンパク質の一種と結合し、血中に放出されます。

プロテインの取りすぎは、余分な中性脂肪として肝臓に蓄えられ、脂肪肝を促進させます。

糖尿病の悪化を防ぎ、筋肉増強のために、よかれと思って摂取していたプロテイン。

実は、脂肪肝と糖尿病を悪化させていたという皮肉な結果となってしまいました。

脂肪肝は、肝臓の炎症です。

悪化すると肝硬変、肝臓がんになる可能性があります。

この患者さんの場合、元々ALTが、98と重篤な脂肪肝であったので、今では肝硬変になているかもしれませんし、糖尿病がもっともっと進行している可能性があります。

せっかく自分の身体の病気がわかったのに、このままの状態にしておくことは、病気を悪化させる原因になります。

本人も疲れがとれないという、身体の異変に気づいているのですが・・・。

本人が危機感を持って、生活習慣を改め、本気で治療しなければ、病気は治りません。

このように、歯周統合医療は、歯周病治療だけでなく、全身疾患の原因を探ることができる画期的な方法です。

でも残念ですが、ここまでが、歯医者の限界のようです。

この症例から得られたこと

①歯周統合医療は、口腔内に現れる病変を元に、各種検査を行う事で、歯周病治療だけでなく、歯周病に隠れている全身疾患を見つけることができることがある優れた方法です。

②胃での消化、腸での吸収が、正常に行われていない限り、プロテインやサプリメントは効果的に吸収されないばかりか、残留物がかえって身体に悪影響を及ぼすことがあります。

③脂肪肝を軽視してはいけない。

④素人判断は、自分の寿命を短くします。

⑤検査結果に隠れている本当の病気を治しましょう。

⑥消化、吸収ができない場合、プロテインの摂取は、かえって身体に悪影響を及ぼします。

⑦カフェインの摂り過ぎは、高血圧、糖尿病を悪化させます。

⑧筋トレは、無酸素運動、糖尿病に効果があるのは、有酸素運動です。

⑨歯周病は、腸内環境を悪化させ、腸内環境の悪化は、全身疾患を誘発させます。

あなたは、検査結果と自分の判断のどちらを信じ、病気に立ち向かいますか?

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