入れ歯のバネをかけた歯が抜けるのは、入れ歯の設計に問題があります。
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質問です
新しい部分入れ歯を作りましたが、また1本、バネをかけた自分の歯を失いました。
体は健康そのもなのに、入れ歯の歯だけが年と共に増えて、このままだと、どうなるんだろうと心配です。
ご心配ですよね。
ただ、ご相談者さんのような悩みを持っている方、たくさんいらっしゃいます。
残念な事ですが、これは、歯医者さんが入れ歯の基本設計を知っていれば、防げる悩みです。
もちろん、ぐらつく歯にバネをかけるなんて無謀な事は除いた上でですよ。
なぜ、入れ歯のバネをかける歯が抜けるのか
これも、基本的な入れ歯の設計とテコの原理を理解できていれば、簡単に解ける問題です。
では、質問です。
栓をしてある、瓶ビールや瓶ジュースを飲む時、どの様にして飲みますか?
コップを用意してとか、口をつけてなんて答えを要求していませんよ~!
栓をしてある、瓶ビールや瓶ジュースを飲む時、必ず栓抜きで栓を抜きますよね。
いや、俺は歯で抜くなんて、自慢げに言う人がいますが、その人は論外です。
この栓抜きは、テコの原理を応用しています。
では、缶ビールや缶ジュースの場合はどうでしょうか。
そうですよね。
考えもせずに缶タブをつまんで、栓をこじ開けますよね。
これもテコの原理を応用しています。
入れ歯のバネのかける位置が間違っている
もうお分かりだと思いますが、いつも入れ歯のバネをかける歯が抜けるのは、入れ歯のバネのかける位置が間違っているからです。
それでは、部分入れ歯を入れている方!
自分の入れ歯を実際に見てみましょう。
いかがですか?
入れ歯の場所から前に向かって、入れ歯のバネが出ていませんか?
しかも一つだけ。
こんな設計では、噛むたびに入れ歯が回転し、栓抜き効果で、歯はたちまち抜けることになります。
入れ歯は回転します
食べ物を噛むと、入れ歯は、前後、左右、上下の回転が同時に起こります。
しかも、その回転の中心が入れ歯のバネの部分です。
ですからバネをかける歯に、栓抜き効果が出現して、噛むたびに応力が集中して、歯が抜けるのです。
歯根膜と粘膜の被圧縮度が違うのでバネのかけ方で栓抜き効果が出現する
歯は歯根膜という膜で骨にくっ付いており、この歯根膜は、噛む力に耐えられる様にクッションの役目をしています。
顎と入れ歯のピンクの部分が接触する場所を粘膜といい、この部分も噛む力に耐えられるようにクッションの役目をします。
ところが、歯根膜のクッションは、粘膜のクッションよりも硬い(被圧縮度が異なる)ので、入れ歯に力が加わった時粘膜は、歯根膜よりも多く沈下します。
その時、入れ歯側から前方にバネをかける事で、栓抜き効果が働き、歯が抜けることになるのです。
どんな設計が歯を守ってくれるの?
この栓抜き効果を防止するのが、入れ歯から離れた場所に支えを持ってくる近心レストと、回転防止のガイドプレーンと隣接面板をつける事で、入れ歯の回転を防止するので、栓抜き効果を防止することができるのです。
こんな悩みで困らないために
①歯医者さんが入れ歯の設計を行っている歯科医院を選ぶ
②入れ歯の設計を知っている技工所に、技工をお願いしている医院を選ぶ
③根の治療がいい加減な歯医者さんは、入れ歯も全ていい加減なので選ばない
④入れ歯安定剤を勧める歯医者さんは、絶対に選ばない