入れ歯が痛くて噛めない原因の科学的根拠

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入れ歯が痛くて食事ができないのには、原因があります。

入れ歯でものが噛めないのにも、原因があります。

さて、その原因とは何でしょうか?

自分では常識だと思っている事が、実は常識ではないということが、多々あります。

私は、痛くなく快適な食事ができる入れ歯を作ることは、常識だと思っていました。

しかし、世間一般的には、何と多くの人が、痛い入れ歯で苦しんでいることでしょう。

そこで、26年前に書いた英字論文で、その原因を科学的に解明した事を思い出し、これから、分かりやすく説明しようと思います。

この論文は、学会賞を頂いた論文で、とても評価された論文です。

今でも全く色あせない素晴らしい論文内容です。

AN EVALUATION OF DENTURE FUNCTION IN COMPLETE DENTURE WEARERS USING THE BITING FORCE AND PRESSURE DISTRIBUTION MEASURMENT SYSTEM;Dentistry in Japan Vol29.

どんな研究なの?

顔の筋電図を測り、顔の筋肉から噛む力をコンピューターで計算し、噛んだ時の入れ歯の動きを同時に測定し、噛む力と入れ歯の動きの関係を調べた研究です。

やり方は?

噛む力を測るとき、口の中に噛み合わせの力を測る計測器(咬合力計)を入れて測ります。

しかし、それでは、本当の意味の噛む力を測る事にはなりません。

なぜなら、測定器を入れるために口を開いたままの状態で測らなければならないので、噛み合わせた時の噛む力を測ることは、不可能です。

そこで、現在使っている入れ歯と同じ噛み合わせの高さで、噛み合わせの力を測る計測器で、測っておきます。


その値を基に、口の中に測定器を入れずに、顔の筋肉から、筋電図を測定して、コンピューター解析して、噛み合わせの力を計算します。

同時に圧力センサーが取り付けてある下の入れ歯と上には普通の入れ歯を入れて、一番強い力で噛んでもらった時の、筋電図から得られた噛み合わせの力と、入れ歯にかかる圧力を測りました。



そして、入れ歯の噛み合わせのバランスがとれない状態と、噛み合わせの調整を行い、噛み合わせのバランスがとれた状態をそれぞれ測定して比較しました。

どんな結果が得られたの?

・顔の筋肉から求めた噛み合わせの力と、噛み合わせの力を測る計測器から得られた力とは、ほぼ近似しました。


・図のA、Cは、入れ歯の圧力計から得られた圧力分布図で、B、Dは、顔の筋電図から得られた噛み合わせの力の図です。

・図A、Cの入れ歯の圧力計から得られた形と、図B、Dの顔の筋肉から得られた噛み合わせの力は、AとB、CとD 、それぞれ同じ形になりました。


・図Aは、噛み合わせを調整する前の入れ歯の圧力計から得られた結果です。

・それぞれ6個の圧力計は、バラバラの状態で、噛み合わせを調整しないと、入れ歯は回転して落ち着く場所がないので、痛みがでます。


・それに対し、図Cは、噛み合わせの調整が済んだあとの入れ歯の圧力計から得られたものです。

・噛み合わせを調整することで、最終的に6個の圧力計の値が、一定の場所に収束していることがわかります。


・このことは、入れ歯の噛み合わせを調整すると、噛み合わせの力が分散されて、ちょうどいい所へまとまることがわかりました。

・すなわち噛み合わせを調整することで、入れ歯の回転が少なく沈下するので、痛くない入れ歯が出来るということです。

この研究から分かったことは?

入れ歯が痛くて食事ができない人の入れ歯の調整は、痛い所を削るのではなく、噛み合わせの調整が必要であるという事です。

あなたの入れ歯が痛い時、まだ、入れ歯の痛い所だけを削る歯医者さんを選びますか?

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入れ歯が痛くて噛めない原因の科学的根拠
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joydenture|青森の入れ歯指導医石川佳和の最新ニュース情報を、
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