総入れ歯(全部床義歯)における力と回転抑制のルール」を無視して、痛くない総入れ歯は作れない!

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入れ歯の悩みをいつも相談されますが、ちょっとしたルールを知らないために、
痛くて食事ができないという悪循環から逃れられない人が多い事に驚かされます。

入れ歯の悩みをいつも相談されますが、ちょっとしたルールを知らないために、痛くて食事ができないという悪循環から逃れられない人が多い事に驚かされます。

入れ歯の悩み相談

ある患者さんからの相談

「入れ歯が痛くていれてられません。口内炎もできています。かむと痛くて食事もできなくなってしまいました。ろくにかまずに飲み込んでいるので、消化不良で胃腸への影響も心配です。どうしたらいいのでしょう?」

この様な入れ歯についての悩み相談をよく受けます。

ネットで調べても、なんと入れ歯が痛くて食事が満足にできないという悩みの多さに驚かされます。

痛くて噛めない入れ歯が多い理由

ではなぜ、こんな悩みが多いのでしょうか?

多くの患者さんや驚くことに大多数の歯医者さんまでもが「痛みの原因は、入れ歯の縁が長すぎて、口を動かすたびに入れ歯と歯ぐきがこすれて傷になるから」との理由で、入れ歯の内面や縁を削ります。

もう1つ、「入れ歯の内面が歯ぐきの弱い部分(骨がすぐ下にあり、歯ぐきの厚さが薄い場所)は、入れ歯の動きでこすれて傷になってしまいます。特に傷のできやすい薄いところは、上あごでは奥歯の頬側、下あごでは舌側の骨の内面がそうです。

こういう部分にはあらかじめ隙間をもうけて入れ歯をつくります。しかし隙間をもうけたからといって痛みがでないわけではありません。実際に口の中にいれてみるとあたってしまうことがよくあります。その時はさらに内面をけずってあたらないようにする必要があります。」

この様に、必ず入れ歯の歯ぐきの部分を削ります。

はたしてこれで痛くない総入れ歯が出来上がるでしょうか?

答えは、Noです。

間違った入れ歯の調整をいくらやっても、よくならないのは当然で、削れば削る程、適合の悪いガタガタの入れ歯になり、ますます痛くなるという悪循環にはまっていくのです。

では、痛くない、なんでも噛める入れ歯は、作れないのでしょうか?

その答えも、Noです。

そもそも、「総入れ歯における力と回転抑制のルール」を無視して、痛くない総入れ歯は作れません。

入れ歯とテコの原理、力のモーメントとの関係

総入れ歯の説明の前に、理科の復習をしましょう。

テコの原理と力のモーメントを理解しておきましょう。

テコは、支点、力点、作用点の3つの点から構成されます。

力点に力をかけ、支点を中心として、テコを回転させることで、作用点が重量物を動かします。これが、テコの原理です。

力のモーメントとは、物体を回転させようとする作用で、てこの原理、滑車の原理は力のモーメントの典型例です。

剛体を回転させようとする能力は、力の大きさ(F)だけでなく、作用線と回転の中心との距離(r)にも比例する。力(F)が大きいほど、距離(r)が長いほど、剛体を回転させようとします。

この事と総入れ歯、どんな関係があるの?

全く関係があるようには思えない!

なんて思っている人、実はものすごく関係があるのです。

顎の関節(顎関節)と筋肉と入れ歯との関係は、テコの原理で説明がつき、作用する力すなわち回転力は、力のモーメントで説明がつきます。

入れ歯の場合、テコにおける支点は、顎関節で、力点は、筋肉です。そして作用点が入れ歯の人工歯という事になります。

すなわち、力は人工歯を伝わって入れ歯全体に加わります。その時の人工歯には力のモーメントが発生し、入れ歯は回転します。

力が一点に集中すればするほど、その回転力は大きくなり、人工歯に加わる力を分散することができれば、入れ歯の回転力は小さくなります。

総入れ歯における力と回転抑制のルールとは?

では、「総入れ歯における力と回転抑制のルール」とはどんなルーなのでしょうか?

先程の説明で入れ歯に加わる力は、人工歯に加わり、そのため総入れ歯全体は、回転して歯ぐきを押して沈下し、落ち着く所へ落ち着きます。

強い力が一部の人工歯に加わると、入れ歯全体は大きく回転しながら沈下していくので、痛い入れ歯になり、力の伝達場所を削らずに痛い所、すなわち入れ歯の内面や辺縁を削るので痛みが取れないばかりか、ブカブカの合わない入れ歯が出来上がるのです。

入れ歯の人工歯に強い力が加わっても噛み合わせの調整がなされていれば、力が分散されるので、少ない回転量で垂直に近い沈下をするので、痛みがない、なんでも噛める入れ歯が出来上がるのです。

すなわち、「総入れ歯における力と回転抑制のルール」とは、はじめから入れ歯の内面や辺縁を削るのではなく、まず第一に噛み合わせの調整をして、十分な咬合調整が終わっても、痛い場合は、内面や辺縁を削るのです。

たったこのルールを知っているだけで、痛みのない、なんでも噛める入れ歯が出来上がるのです!

ここで注意!

いくら噛める総入れ歯だとしても、保険のプラスチックの入れ歯だと、入れ歯自体がたわむ(力が加わると変形し、力が無くなると元に戻る)ので顎の骨が吸収して、2年位使い続けると合わない入れ歯になります。

⑴ 痛くて噛めない、

十分な食事ができない、

そんな入れ歯は存在しません。

⑵「総入れ歯における力と

回転抑制のルール」

を理解している歯医者さんを選びましょう。

⑶ 痛いからといって

すぐに入れ歯の内面を削る

歯医者さんは、要注意!

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総入れ歯(全部床義歯)における力と回転抑制のルール」を無視して、痛くない総入れ歯は作れない!
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joydenture|青森の入れ歯指導医石川佳和の最新ニュース情報を、
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